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つれづれ想(難しい詩)

2013年05月31日 15:27

   難しい詩

難しい詩は理解のため何度でも読み返される

優しい詩は一読で理解し片寄せられるとしたら

難解の詩の方が得する勘定・・。なんて考えてしまう。

だけど難解の詩を食いついて読む人が何人いるか

片寄せてしまう人が何人いるか 差引どちらがいいか

作品は理解できてなんぼ・・という人が多い

再読再々読でもわからない詩なら素通りされるのと同じ 

平易な言葉で充分理解でき理解の奥に深い味わいを

探し出す人が読者であれば 人それぞれの理解度で

吸収力は大きな差が出る

ただ理解できるだけでは一読、捨てられるが

言葉の向こう側に広く深く重みのある詩は

詩人は見逃すはずはない

そんな詩を書きたい

つれづれ想(生きたという経験)

2013年05月29日 20:13

   生きたという経験

目の前の生きたという経験が書きつくされると

詩は想像の壁を食い破って 思いがけない暗喩の

中に住み始める 比喩があり飛躍があり

誰も入ったことのない世界に入り込んで

原野で原始の人に逢う 戦いは止そう

その槍は置け 私は何の武器も持っていない

言葉さえ貧しい ランプの明かりで

ウサギ汁を分け合おう 原始に戻る

つれづれ想(田舎)

2013年05月04日 09:28

   田舎

田舎の飛び越えられるくらいの 畔際の水路 雑魚やどじょう

たがめやゲンゴロウ 川エビや水澄まし

お前たちはどこへ行った 土手の榛の木にも 髪切りや

カナブンなどいて 揺さぶると落ちてきてよく捕ったものだ

蝉や黒羽とんぼ 糸とんぼ メダカに青蛙 おけらや巻貝や蜆

身の回りいっぱい 仲間だったお前たち

それらみなどこで命をつないでいるか

沢山の時間とたくさんの思い出を積み上げてきた 

いま元気な子供達は時間に追われ 勉強に追われ

少しの暇を見てゲームに夢中になる

昔の子供とはずっと変わっていてどちらが幸せであるか

昔人の私は孫たちを眺めている。 孫は孫 

さあ私たちは自分に負けず毅然と頭を上げ

老いなりに闊歩と行きたい

 

つれづれ想(梢から天へ)

2013年04月22日 18:56

   梢から天へ

喜びは梢の先を揺らすそよ風に似て 樹幹を揺らすほどの驚愕はない。

それ故に常に目覚めている。

梢は空や風や雨やすべてを受け入れ揺れる覚悟を持つ。

梢はそうっと樹根に伝えねばならない。 

水を吸い命を吸い 若葉を光らせるために どっしりと構え 

大風の揺らぎや受け止めきれない振動にも踏ん張って耐え。

人の胎にもどっしりと根を張って、哀しみ悼みにも倒れぬ。

だから今 梢の揺らぎを大切に 樹幹から枝へ樹液を送って

高らかに天に差し出されている。

窓のカーテンを揺らす風

2013年04月12日 10:02

   つれづれ想(窓のカーテンを揺らす風)

窓のカーテンを揺らすほどの小さい風 こころの隙間を覗き込んで奪って行く風

ほんの少し紅色に染めた眼の端 受け止めきれずに高鳴る臓器

知らんふりして通り抜けていくまなざし 握手してハグして忘れてしまった面影

さわやかな香を追って手を振ると 今流行の想定外が足元に広がる

逆巻く風 通り過ぎる風 向かい風追い風 つむじ風ビル風 

風の秘密結社がこっそり設立されて 主役になる

あそこここと風の出張を命じ慰めたり 鼓舞したり 若い風は敏捷に配置につく

 

 

詩 「悲しむんじゃないよ」

2013年04月11日 18:34

   悲しむんじゃないよ(衣詩誌28号招待席から)

ふいに悲しむんじゃないよ と聞こえてきた

堂々と老いてきたのだ 山坂越え狼煙を上げ

草原をたどり 青空を慕い 大過もなく

雨も風も難なく凌いでここまで来た

 

悲しむんじゃないよ

怒りも涙も人が育つための大切な栄養価の高い食べ物

苦かろうが辛かろうが 甘いだけがいいんじゃない

転んだり擦りむいたり 泣きじゃくったりしても

ここまで立派に老いたんだから

 

悲しむんじゃないよ

俯かず真っ直ぐを見て分け入るんだよ

滑らかな肌に触れるような

もどき言葉に笑いながら裏側で はにかんだ

肌寒さが素通りする 陶酔する

棘の痛みにゆるく反応し 半開きの眼を怯えさせる

故知らぬ 季節の風

 

誰でしょうね

耳の奥でじっと潜んでいるのは

啼き続けているのは地虫か 秋の蝉か

同じ音程で啼き続けている

耳をふさいでみても

頭いっぱいに溜め込んだ過去が

きしきしと鳴き砂のように音立てて

 

誰でしょうねこっそり 忍び足で

悲しむんじゃないよと

近づいてくるのは

詩(ゆっくり歩こう)

2013年04月05日 09:45

   ゆっくり歩こう (短未来)

悲しみってなんだろう 寂しさってなんだろう

あれもこれも乗り越えて

子供のため 家族のため 自分のため

平然と傷つき 勝ち顔をして

 

寂しいときだって腹立たしいときだって

お尻の下に敷いて知らん顔して

世の中こんなものだとうそぶいてきた

振り返ってみると山あり川あり躓き転んだ石塊も

自然の風景の中に溶け込んで

足元の小花にすべてが許され 癒されてある

 

小心の私が逃げたり 隠れたり 拒んだりしながら

遠回りしたり 逆戻りしたり

でこぼこ道を透かして見ても

道端の草に埋もれた田舎道としてどっしりある

生きたという満足が 澄んだ空気として満ちている

 

悔いはなんだろう 心残りはどれだろう

尻切れトンボの私に纏わりつく

許しがたいことはなんだろう

伸びきらず 育ちきらず

小さく生きてきた現在 幸せはそれなりにある

 

不満も積もるほどでもなく

寂しさも悔しさも あげつらうほどのことはない

春日和の中にぬくぬくといて

沢山の詩集詩誌に囲まれて

元気に欲張って前向きに生活している

足腰の痛みとも仲良く日々心配りをして

心残りのないよう悔いのないよう

願うこと 祈念うこと頻り

さあ ゆっくりでいい 歩き続けよう

短未来は明るい

 

つれづれ想(頑な)

2013年04月02日 18:23

   頑な

年齢とともに頑なになって行くものを持っている

賛同して 笑顔して どこかで受け入れを拒否して

柔らかい果肉の中の種子のような 

感激も賛辞も溢れているのに 私でない私の頑なな拒否

笑顔の下の泣き笑いの顔を剥き出す

甘い果物 果肉は大きな種子 小さな種子を孕んで育つ

この充実と頑な 焼かれないと芽吹かない種子のように

過激な環境にあってこそ芽吹く 頑ながある悲しみ

詩 取り込まれて

2013年03月27日 10:03

   取り込まれて

あっさりとさよならを言おう 私の中の私に

握りつぶそうとするのは無理だから

遠景でも見るように優しい 諦めの言葉を透かして

労わるように告げる

 

愛おしさと憎しみを 別れの言葉に溶かして旅に出る

当てもない旅に出ようと 地図をいっぱいに広げて

赤丸印を付け 行った地を 

行きそびれた地を散策する

 

それが今の私の旅 海も山も樹林も渚も

放心したように 目の前に横たえて

現在からも遠く 過去からも遠く

 

渦を巻き岩礁に砕ける飛沫のように

倦むことなく 寄せては返す波のように

遠くを見ている 

琥珀の中に閉じ込められて

永遠に生きる虫の姿を 凝視めながら

 

生きる華

2013年03月22日 10:25

   生きる華

活力を生きる華として持つ幸せ

詩集読書三昧 詩作三昧の

静かな流れが幅広く私を隔てている

我武者羅に目をくすげて凝視め

その被膜を取り除こうとする

老人性黄斑が 詩をおぼろにする

飛躍や比喩や暗喩にとおせんぼされて 

飛び越えることができない

余病的疾患がこころのうちに発症する

上辺だけの纏め切れない

主題のない詩のない文字が並び始める

味のない綴り方になる

ミューズよ私を無視して通り過ぎるな

人生を歪に おぼろにするな

 

威厳も羞恥も競争心もかなぐり捨て病み呆ける

そしてあの世とやらに旅立つ準備を整えて

なんの衒いも構えもなく素の心になって

しずしずと三途の川を渡ろうとする

そんな準備の期間が 覚悟の期間がにじり寄ってくる

ふる里が呼んでいたり 昔が懐かしくなったり

竹馬の友が思いだされてくる

あの世を引き寄せて母と話す

肩を並べて話し込む

雨降る日には雨音を聞きながら

風吹く日には襟を立てながら

小春日和には空の青さに包まれながら

悔いはすべて切り捨てて

一番いい笑顔をする

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