詩 取り込まれて

2013年03月27日 10:03

   取り込まれて

あっさりとさよならを言おう 私の中の私に

握りつぶそうとするのは無理だから

遠景でも見るように優しい 諦めの言葉を透かして

労わるように告げる

 

愛おしさと憎しみを 別れの言葉に溶かして旅に出る

当てもない旅に出ようと 地図をいっぱいに広げて

赤丸印を付け 行った地を 

行きそびれた地を散策する

 

それが今の私の旅 海も山も樹林も渚も

放心したように 目の前に横たえて

現在からも遠く 過去からも遠く

 

渦を巻き岩礁に砕ける飛沫のように

倦むことなく 寄せては返す波のように

遠くを見ている 

琥珀の中に閉じ込められて

永遠に生きる虫の姿を 凝視めながら