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詩(人という文字詩集 風を抱くより)

2013年07月31日 19:15

   人という文字

人という文字をじっと見ていると

今日は後姿の人に見えてくる

ひょうひょうと立ち去る姿をみせている

いつもは正面きって私と真向かっている

文字なのに

いつもの胸張った威厳のある

あの姿は毛ほどにも見えない

 

人という文字は時には真向い

時には頑なに後ろ姿しか見せない

話しかけて笑ったりうなずいたりして

いつも真向かっていたい

傾き支え支えられて寄り添っていたい

 

人という文字が遠のいて行く

荒野の素浪人の様に

ひょうひょうと

 

地平線がはっきり浮き上がって見えてくる

つれづれ想(茨城詩人会)

2013年07月29日 10:32

   茨城詩人会

28日茨城詩人会に 久しぶりで出席した。

北岡淳子さんの講演で「 詩とわたし 」のお話を聞いてきた。

耳が遠くなったのか、皆はよく聞こえているようだが私は

ところどころ 聞こえない。

でも要旨は把握できた。 日常と非日常については

覚えていたはずが 再認識してきた。

現実と非現実 現世と異界 霊界 神 相反するものの調和か

想像と物語の魅力をどうあらわすか 日常のみを書いて

澄ましていたが それでは深い絡みも 物語も

人を惹き付ける力もないと知った。

気が付いた時が良い時 詩を書くという構えを大切にしたい。

大勢の人に会えたという幸せ

詩 遥か(小さい花束より)

2013年07月26日 20:52

   遥か

手から離れた風船玉は

いつも心の片隅につながれていて

時々 糸の端を人差し指にまいて

引くしぐさをすると

見えないところで確かに手応えがあって

指は軽く風船のゆらぎを感じる

 

快晴の日はくっきりと

アドバルーンのように

風の日は尾をはね上げて

疾風のように流れ去るが

いつか雨の校庭でしぼんで濡れていた

おまえを見たとき

いじめっ子のようにいじめた

それからのおまえは

いつもかなたで上がっていて

引き寄せるしぐさに応えない

 

高々とゆれていておくれ

鮮やかに朱く上がっていておくれ

 

手から離れた風船玉は

心の片隅に確かにつながれている

詩(さくらんぼ)赤い花・・より

2013年07月24日 09:22

   さくらんぼ

ありあわせの人生を

ありあわせの言葉で

そそくさと過ぎてきたようで

むずかしい生き方も

むずかしい生きがいもなくて

 

ぢゃあ幸せかと問われれば

首をかしげて不幸ぢゃなかったと答え

ぢゃあ生きた証はときかれれば

さあ 子が二人とぶっきらぼうに答える

 

どう生き どう・・・・

空気のように邪魔にならず

押しつけもせずなくならず

皿にも従い壺にも従い

自主はといわれれば握った掌を開いてみる

ありあわせのガラス鉢へ

さくらんぼを入れて

光っているとつぶやいている

そんな刻がある

詩(言葉)赤い花一輪咲きますよう より

2013年07月22日 19:41

   言葉

たとえば

お久しゅう存じます・・・・・とか

暫らくでございました・・・・・とか

お目にかかりとうございます・・・・・とか

誰もが口にし便りに書く

見逃してしまう言葉の陰で

思いはひっそり実っているのです

  何気ないあいさつの

  一行の重さを

  あなた 知っていますか

 

  

つれづれ想(揺れる)

2013年07月19日 10:22

   揺れる

ページを繰って読み終えない内に前ページに戻る どうしても前頁が気にかかり

いまをそこに捨て置いて引き返す。悪い癖で一つのことが終わってから

次のことに移ればいいのに あれもこれも気にかかり手を付け 中途半端でおろおろする。

できない 仕上がらない 片付かないと嘆く、顧みると来し方 行く先がそんなで、

積み上げられ崩壊が予想されて怖い。私自身も揺れ動き震度大になる、

地球上揺れに揺れているから 私も揺れて崩壊を案じる。

静かに寄り添っているだけで 存在は大きく場を占めている。

沈黙と孤高が言わずして深い語りとなり、ひたひたと浸していく。

詩(目を閉じると)「赤い花一輪咲きますよう」より

2013年07月17日 19:20

   目を閉じると

目を閉じると 夕日に染まった雲海が広がる

山の独り言が沈黙と連れ立って 霧になってせまり

祈りの言葉が読経の様に湧き上がる

 

目を閉じると 青海原があり

病んだ魚の物語りと貝の溜息が潮騒になる

 

目を閉じると 死にかけた川や

死にかけた樹木の絶叫がこだまし合い

 

目を閉じると 太陽が熟れ過ぎて重たげに

私の内部に沈む

つれづれ想(文字を拾う)

2013年07月16日 19:55

   文字を拾いながら

文字を拾いながら無意識に文字の向こう側ばかり見ている。

文字は投映されるスクリーンで 物語はその裏側に躍動している。

腰をかがめて跳躍の姿勢でかがまっている。

 

つれづれ想()

2013年07月16日 19:54

詩(ことばについて)「赤い花一輪咲きますよう」 より

2013年07月13日 10:12

   ことばについて

干からびてどれだけの思いを含んでいるというのだろう

青臭くてどれだけの滴りがあるというのだろう

掌の中でいつも変身を繰り返すおまえ

おまえを追い越してなお溢れるもの

この想いを いつも鼻うたまじりで追い越させるおまえ

遠のくと関心をしめし

よりそうとプイっとどこかへ行ってしまう

入れまいとすると窓もないのに入り込み

含み笑いを見せ

捉えようとすると追いつめたところで

するりと跡形もない

膨らんでしまった期待

おまえに向かって伸びきってしまった腕の

戻しようがなくて

胸と言わず胎と言わず

ブスブス突き刺さっている おまえ

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