詩(螺旋階段をのぼって) (風を抱くより)

2013年08月17日 21:32

    螺旋階段を上って

涙を溜めた言葉とすれちがう

知らん顔してそっぽを向きながら

すねて刻の流れに逆らっている

 

慰めたり励ましたり

そんなことは何の役にもたたないので

泣くことのできる若さをいとおしんでみる

 

青い山脈に対峙して

花びらの両掌の中に白い卵を大事に抱えて歩いた

あのころ

卵は少しずつ少しずつ大きくなるようで

虹色の翼をした鳥が孵化(ウマ)れると信じ始める

 

春が過ぎ夏が来て秋になり冬をくぐる

同じ季をぐるぐる巡り

生まれたのは 何だったのであろう 

育ったのは何だったのだろう

 

話しかける花や樹や 空やビー玉や

出逢いや 小鳥のようなさよならや

躍動と次の春を育むために散る木の葉や枯れ枝たちの

輪廻という階段をのぼってのぼって

遥かをみると今も涙を溜めた言葉の

後ろ姿がみえている