詩(そっと手を開く)

2014年02月08日 19:02

   そっと手を開く

捉えた蛍を放っように 

そっと手を開く

追い詰めて捕まえる寸前 

ふっと緑の網がかぶさる

 

厳しい顔してすたすたと行く青年

にこにこと笑いかける嬰児

さらりと風は通り

日差しはふっくりと背に暖かい

 

街には溢れる活気と

行き交う人々と

吹き上がるバルーンと

街路に舞う落ち葉

 

踏みしだかれて

いつしか粉々になって

腐葉土になる

黄葉紅葉の末

 

誰の花道か

嬰児は巣立って

青年は成り

老いは育って握った拳見詰め

 

そおっと開いて

呼びかける

蛍を放つように上向けて

空のへと放つ