詩「私が充分老いたとき」(詩集 風を抱くより)

2013年09月01日 20:10

   私が充分老いたとき

ここから先は行ったことがないから

これから先は誰も知らないことだから

想像して空想して

美しいと思い恐ろしいと思い

天国だと言い地獄だと言い

自分だけはと老いを払いのけて身構える

 

私が充分老いたとき

何が支えとなり足となり

生きた証しとなるか

独り立ちして前方を見据え

心豊かにと瞑目してみる

健康であれ病気であれ

素直に受容し

現状を土台にして

一歩でも進みたいと願って

 

ありのままこれで良かったと

青空を仰いで跪き

合掌することが出来るだろうか

私が充分老いたとき

悔いもなく毅然と真向かえるよう

信仰を持たぬものの深い祈りとして

力強く一本の線を引く

 

引き返すことの出来ぬ

バリアフリーの昨日と今日 今日と明日

やり直すことの許されぬことだから

 

青空を掲げて今日の一歩を心して踏み出している

新しい老いに向かって

未知に向かって分け入って行く