詩 「川岸は美しく」(詩集つれづれ想より)

2013年09月27日 10:10

   川岸は美しく

重い袋を背負おうと

力いっぱい荷物を引き上げ

腕力の衰えを感じながら背に乗せる

新しい環境を背負い日々の生活を背負いして

 

刻に流され刻に背負われ

川岸の細道をたどる

すがすがしい空気と

少し湿り気を帯びた活力を投げ上げ

気がかりな石塊を蹴りながら

明るくハミングしている

 

緑溢れる雑草の中に咲く

小さな花を見つけて囁きかけ

自分の中に移植する

 

里山の杉木立が懐かしさをみせ

竹ばやしも合唱のかたちでゆれ

にぎやかさと静寂が敷き詰められて

遠景にある

 

川岸はどこまで続くのか

流れに添うは安らかでゆるやかで

背負いきれない数々のものが

私を見送って岸辺にある

 

うらうらと岸は

小花と虫の声で

満ちている