故郷の海に会いたい

2014年12月02日 10:09

  故郷の海に会いたい


海に会いたい 故郷の海に

何の変哲もない寂しいだけの海に

舟もなくテトラポットが波に洗われて

静かな波音だけが永遠を呟き

限りなく続いている


何もない故郷のさびれた海

流木や漂着した芥類

風に転がり吹かれて

一層わびしさを積み上げている


泳ぐ遠浅の美しい浜辺ではない

この寂しいだけの海が私の海だ

防波堤を乗り越え流木を杖に渚まで歩く

子供のころの貝拾い小石拾いが思われて

引いてゆく水に手を伸ばす


故郷の海にそっと置いてみる

釣り人一人いない

潮騒が心の奥の方まで浸み込んで

わびしさを洗い出してゆく


そんな海だから

独りだけで暫らく立っていたい

話し込んで深まっていたい

海風に吹かれて冷え冷えと