記事のアーカイブ

詩 空き部屋の怪「詩集風を抱くより」

2013年08月15日 09:19
   空き部屋の怪 ここに何年か空いたままの部屋がある あなたを招き入れるための 香をたいて 清々しい部屋   あなたを捉えて逃がさないための 足かせ 手かせの用意された 冷たく静まり返った部屋   小鳥を窓辺でうたわせ 花を手あたり次第折ってきて飾っても なお 寒々とした部屋   入り口には透明な罠を張り みがまえを脱いで ゆったりと まどろんで待つ   ある日 悪いこと全部やってみたくて かかった獲物を口一杯ほうばって 身ぶるう弱虫の体液を 心ゆくまで 吸い上げてやる   寂しさと なお飢餓の この部屋 いつの頃からか  ひそかに 座敷わら

つれづれ想(今は一人連詩?)

2013年08月13日 08:59
   今は一人連詩? 今は一人連詩ではないが 日記のような有ったこと思ったことを書きとめている これもまた結構楽しいのだ こんなことを考えたのか こんなことが有ったのかと 一人連詩も捨てたものではない 遊びであり惚け防止だと思えばいい 誰もメールくれない時は 自分にメールしていると一緒だ 可愛い一人遊び 明日がある。

つれづれ想(連詩)

2013年08月11日 08:34
   連詩 以前四人で連詩をした 二冊まで本になった 三冊目の出来上がりはいつになるか 少し意見のもたつきがあり遅れていたが 連詩三冊は快挙であるかもしれない 1 気づくと沼地で 2 台所で聞くドァフォン 3 さらばおとぎの国 が出来上がった その後辞めてしまうのは残念と 三人で つれづれ連詩を始めた 本にならないから気軽に想ったことを書く。 回ってくることが楽しみで待つ そこから自分の詩に育ってゆくのもいい そんなことでもしないとメールは来ない ただの連絡になってパソコンも寂しいだろう。 日に二回は開けて誰か送信はあるかと確かめる。

つれづれ想(病院にて)

2013年08月10日 08:46
   病院にて 昔のこと若い日のことが押し寄せてくる 肉親友人亡くなった人たちがすーっと訪れてくる 病院とはそういうところ 父母や祖父母いとこや兄弟たちが笑顔で話しこんでくる。 誰もが病院を通り抜けてあの世へと移って行く 病院は別れ駅 見送り駅会いたくなったら 待合室で佇んでみよう 誰かが訪ねてきてくれる 遠望していた師も笑顔を見せてくれる つかえているものがすーっと解けてゆく まばゆい光が見えて 仄かな灯かりの中にいる 野の花をめでながら歩き出す。

つれづれ想(夢の中)

2013年08月08日 13:58
   夢の中 山道を若い姿で若い友と駆け巡る あのバスに乗ろう 見えていて遠い 駆け出し回り道 崖がある坂がある 飛び越える 目覚めるとすっかり疲れ果て いつものように 床から離れられない どうしているだろう夢に出てきた友よ 元気でいるかと案じて 夢の場所はどこだろう 細い山道繁った木々 照らし出された土道 幸せに満ち適わぬものは何一つ無かった あのときの夢の中

つれづれ想(心がざわめいて)

2013年08月06日 09:48
   心がざわめいて 心がざわめいて 追いつめられて焦れてくる 何を書こう どう表現しよう 生きた言葉を探す 青々と繁茂し撥ね返す言葉 腕をいっぱいに広げた 抱えきれない想いを含んだ言葉 半分消えた手も足もない言葉 屈めば屈んだまま跳躍もせず 積めば積んだところで崩れていく どこにいるか探しあぐねて眠くなる  永遠に眠りに入る思いを抱きしめてみるが 邪険に捨ててはならぬ。

つれつ゜れ想(老いの詩)

2013年08月04日 14:00
   老いの詩 思い出すたびに 書き溜めた老いの詩が山ほどあって さて投稿詩を選ぼうとすると此れと言った作品はなく 老いぼれていく自分だけが浮き上がってくる。 若やいだ希望の詩 欲望の詩を欲しいと思うが 書き溜めたその時点では良しとしたものが みんな紙くず同様 白茶けた紙上にだらりと 我が物顔で寝そべっている。 活きているか死んでいるか叩いてみても 立ち上がってこない あくまで呆然と老いの独り言 おしゃべり 命ないものになって涸れている。

つれづれ想「」

2013年08月04日 13:59

県詩人会(詩と私 資料2 清水茂 たったいま 誰かが)

2013年08月02日 10:16
   たったいま 誰かが  清水 茂 作 たったいま 誰かが 世界を通り抜けていった。 こちらに向かって閉じる扉が そのまま向こう側に開かれたのだ。 大きな息のようなものが 何処かで 時間を消してゆく気配がうかがわれる。   そこが光のあるところなのか、 それとも深い闇だけなのか、 私たちは期待や不安のままに あれこれと穿鑿し、悲しんだり、 羨んだりするが、もうあの人は そんなことからは解き放たれ 預けられていた自分を還していったのだ。   この夕べの雲があんなに豊かに それもほんの束の間 緋色や紫金色 湧き立たせながら それをそのまま 画布にとどめようとするふうでもなく

つれづれ想県詩人会(北岡淳子さん「詩と私」講演資料)

2013年08月01日 09:56
   蛍    星野 徹  (参考資料1) 林の闇を抜けると ほの白く浮かび上がるいつもの沢 故意に見ないようにして 水音に 一歩一歩 近づいてゆく そうしたわたしにお構いなく 早くも ついと流れるひかり いつもの蛍だ   あれがあなたの からだからあくがれ出た玉だとは 詩的表現の上では可能でも 現実にありうることだろうか   やむなく 流れるひかりを眼で追う ひかりはたゆたい 走り いざなうように旋回し 明滅をつづけて 遠離る気配もない   あれがあなたの 殊に 潤いのある場所に孵ったとするなら その場所が もし この沢だとするなら 思考も からだも ほの白いひ
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